えー、ウチのロゴは相当変わっていて、真っ赤な「日の丸」に、漢字で「六百」。そして「鶴」。
ひと目でお判りのように、ナショナル・アイデンティティが炸裂しまくったモノなんですが、
これが、いかなるコンセプトに基づき、いかなるプロセスで生まれたのか、順を追って見ていきましょう。
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発端は、サンタモニカのとあるホテルのバーで、 仕事の後に飲んだくれていたトキのバカ話でした。 ワタシが独立してフリーになる話をしていたら、 へべれけのNaughtydogのジェイソン・ルビンが 「『ツルミツナーミ』って名前、良くない? ほら、ロゴはこんなカンジにしてサ」 と、グラスに敷くナプキンに描き始めたのですわ。 「『ツナーミ』って、Coolな日本語として アメリカでもかなり認知されてるんだゼ」 彼はもう一つ、 『Tsurumi International Trading Company』 という名前も主張してましたが、 いったい何を貿易しろと!? |
それを聞き黙っちゃいられないのがマーク・サーニー。 彼は日本語ペラペラ&読み書き超オッケーなので、 「だったら『六百デザイン』って方が良いヨ。 ほら、ロゴはこんなカンジにしてサ」 彼もナプキンに描く描く。しかも日本語で。 期せずして、ワタシの新しいブランド会議(笑)。 しかも、クラッシュ制作と同じメンバーで(笑)。 とはいえ、バカ話をしながらもこの時点で、 ワタシの脳裏に閃くモノがありました。 「こりゃイケる!」 |
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日本に戻ったワタシは、すぐさま資料集め。 おぼろげながらも、全体を束ねるイメージは、 アタマの中に醸成されつつありました。 ■ガイジンが見て「日本」を感じるタッチ 〜たとえば、浮世絵とか日の丸とか〜 ■自分の出自を明らかにするディテール 〜横浜市鶴見区に由来しているとか〜 まずはコンビニで花札(任天堂製に非ず)を購入。 同時に、インターネットで浮世絵を検索しまくりです。 |
ジェイソンが強硬に主張した「ツナーミ」を 名称として採用するのはさすがにナニですが、 そのアイデア自体はいただきです。 浮世絵で「波」といえば思い浮かぶのがコレ、 富嶽三十六景 「神奈川沖浪裏」 鶴見と言えば、神奈川県横浜市。 しかもオープンカー軍団が霊峰と仰ぐ富士。 バッチリじゃないっすか! |
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さて、「神奈川沖浪裏」を眺めていたら、 砕け散る波頭が別のモノに見えてきました。 いわゆるフラクタルのドラゴン曲線。 六方格子を基にしたドラゴン曲線が、 先の浮世絵にピッタリ合いそうです。 ワタシ、これでも大学の研究がカオスとニューロで、 もちろんフラクタルもやってます。全然覚えてないけど バッチリじゃないっすか! |
要素はこれで十分です(たぶん)。 この段階で、集まった要素をレイアウトしてみます。 なんつーか、まあ、 バランバランですなあ。 はあ……。 |
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今度は、要素を統合させつつ再レイアウト。 富士山の向こうから昇る太陽をイメージして、 中心に鶴を持ってきます。 やっとここで、マーク・サーニーの案である 六百の文字を挿入。注視点を絞ります。 なんか、いーカンジじゃない? |
あとはIllustratorの魔術師と呼ばれた腕を活かし ベジェ曲線で、ひたすら清書あるのみ。 ホラ、元図版が元図版なだけに、 清書しないと著作権的に問題が起きそうだし。 ここでマーチン・ガードナー的な数秘術を盛り込んだり 福田繁雄的なダマシ絵トリックを盛り込んだり それらの意図が途中でことごとく挫折したり(笑) とまあ、色々あって、やっと完成。 下につけた「0600design」の文字は、 「オーグッドデザイン」と読めなくもなく、 自分のココロの声を代弁(笑)。 |
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Adobe Illustratorのデータがそのまま入稿できる 電脳名刺本舗に発注した名刺が、 今日、出来上がってきました。1枚29円。 いやまあ、便利な世の中になったもんです。 なんか、アメリカの日本料理屋の名刺っぽくって、 いいカンジじゃないすか?ダメすか? ちなみに、赤い名刺(裏面)の真ん中の白い筋は、 受け取ると勝手に折り曲がる名刺の試作品です(謎)。 ネタ的に古いっすか? |
今回、採用はしませんでしたが、こんなネタもありました。
鶴見の「鶴」は、英語では「クレーン(Crane)」。そう、「クレーン車」のクレーンです。
図面好き、機械好きのワタシとしては、こっちの「クレーン」も入れたかったのですが、
デザイン的にうまく統合できる自信がなかったので、泣く泣くボツにしました。
デザイナー的な力量があれば、そういうのも可能なんでしょうけどねえ……。
ちなみに、「六百デザイン」の「デザイン」とは、「ゲームデザイン」とかの「デザイン」です。
欧米のゲーム業界では「デザイナー」と言えば「ゲームデザイナー」を指し、
日本で言う「デザイナー」は、向こうでは「アーティスト」と呼びます。
六百デザインに絵は発注しないでくださいね。